音って不思議ですよね。
ある人には音色だったり。
ある人にはただの雑音だったり。
楽器店へ行ってギターを選ぶときに、ギターの事を店員さんに尋ねると
「このギターは明るい音、ブライトな音、硬めの音が出ます。」
「このギターは丸い音、軟らかい音がでます。」
なんて返事がかえってくることがあります。
同じメーカーの同じギターの種類でも、ちょっとした仕様の違いで音質が違うというのです。
仕様の違いというのは、ギターに使われているボディの木や、左手で弦を押さえる方のギターのボディから
突き出たネックといわれる細い棒の木の違いだけでも違うというのです。
この話は、フェンダーのニューオールドストック(N.O.S)のストラトキャスターの56年式か60年式の
どちらのギターを買おうか迷ったときに、店員さんからもらった返事でした。
私は、楽器店に入って56年式と60年式のストラトキャスターをみたとき56年式のストラトキャスターが
私に呼びかけてくれている気がしたので結局、最初のインスピレーションにしたがって56年式を選びました。
(それにメイプル指板ネックのストラトキャスターをずいぶん前から欲しいと思っていました。)
「えっ、普通ギターって音で選ぶでしょ。」
って、思われると思いますが、56年式と60年式を弾き比べると明らかに音質の差を感じ取ることができますが、
1週間前にXさんがライブで使用していたストラトキャスターが56年式で、今日のライブで使用したストラトキャスターは
60年式に違いない。
などと音質を聴いただけで、今日聴いたギターと1週間前に聴いたギターが56年式と60年式の区別がつく人なんて、そういないと思います。
でも、56年式と60年式を楽器店で弾き比べると、仕様の違いで鳴りの違いがわかるギタリストはたくさんいます。
楽器を弾かない方には不思議な話だと思います。
さらに不思議なことに、同じ仕様のギターでも微妙にギターの鳴りが違うというのです。
同じ種類の木で作ったギターでもですよ。
ん~、またまた不思議な気がします。
同じ形の同じ色。ぱっと見、同じギターなのに弾いたときの音質または響きが違うというのです。
楽器店で弾きくらべると、ギターの鳴りの違いがここまで人間に分かってしまうのです。
1週間前に聴いた音と今日聴いた音の音質は、なかなか区別ができないのですが。
(この話はおそらく感覚神経、認知、脳に関係するだろうと思うので興味のある人は考えてください。)
何年か前にアコースティックギター教室の見学をしたことがあります。
先生も生徒もギターケースからギターを出すとまず最初に必ずすることがあります。
そうです、チューニング(調律)です。
チューニングが狂う原因は、温度、湿度が変わるとギターの木が伸びたり縮んだりしてしまうことと、
ギターの弦が伸びてしまうことです。
あと、ギターを長い時間よい状態に保っておくにはギターを弾き終わったら1音か2音チューニングを下げます。
チューニングを下げておかなくても温度、湿度の違いだけでも、もちろんチューニングは狂います。
アコースティクギターの先生がチューニングをしながら、
「ギターの音は、毎日ちがうのよ。」
と声をかけてくれました。
温度と湿度の違い、ギターを弾く環境(音響)でも違うと説明してくれました。
同じギターでも、毎日音質が違うというのです。
分かる人にはここまで分かってしまうのです。
と、いうことは、同じストラトキャスターでも楽器一つ一つ違う音質ということが簡単に理解できます。
(同じ型式のギターでも、ギターに使用されている木は、一つ一つ木の繊維が違うので音質が違うのは当然です。)
ネットを見ていたら時々ストラトキャスターを何本も持っている方を見かけますが、こういったかたには
同じ形をしているストラトキャスターでも、ギター一本一本が別の鳴りを出してくれることを感じ取っているのだと思います。
よくギターや楽器を弾く人が、パラパラと音をだして気持ちよさそうにしています。もちろん弾いている曲に酔ってもいますが
弾いている楽器が出してくれる響き自体にも同時に、なんともいえない気分を味わっています。
このなんともいえない気分を味わえるようになったら、温度、湿度の違いだけでも音質が違うことに気がつくほどのレベルに
近づいているのかもしれません。
温度と湿度で音質が違う原因は、はっきりと私も知りませんが、湿度というのは空気にどれだけ水分が含まれているかの割合です。
プールの中に潜って友達と話をするといつもとは声が違いますよね。これと似た現象だと思います。極端ですいません。
(湿度が高いとギターの木が湿気をすってしまうことでも音質が変化します。乾燥しすぎも木に悪いです。)
(温度、湿度の変化でギターの音質とチューニングが変わります。)
ギターを作っている方は、まだギターの形をしていない材料の木の板を
コンこんこん と叩いたときの音を聴いただけで、そろそろ、その材料をギターにするとよい響きのギターになるということが
分かってしまうそうです。
コンこんこん と叩いただけでですよ。
コンこんこんと叩いて、なぜ音質を確認するかというと、生木は水分を含み過ぎているので、あるていど木を寝かせて木を乾燥させて
からギターの材料として使用しているそうです。
乾いた音、枯れた音とギターの音質を表現することがありますが、木をほどよく乾燥させておくと、いい音がでやすくなるらしいのです。
なんで枯れた音がいいのかと思われるかもしれませんが、音質の好みのひとつだと思います。
個人差はありますが、一般的に楽器の演奏が上達するにつれて、丸い音を好む傾向があるようです。
でも、音が丸くなると音の粒がぼやけてくるので、音程は多少とりずらくなるようです。
あくまでも音質は好みです。でも、人間あるていど同じ感覚をもってしまっているので、
「いい音だ」
のいい音だの基準みたいなものが似ているようです。
音質はもちろん、演奏する曲にあっているかも重要です。
音質にあうメロディーがあるという理論があるのかは知りませんが、私は、その音質にふさわしいメロディーのおさまりみたいなものがある気がします。
ローズウッド、マホガニー、アルダー、アッシュなど色々な木がギターに使用されていますが、楽器の店員ならギターに使用されている木の仕様の
情報だけで、だいたいどのような音質の傾向にあるのか分かるようです。
木材の選択やボディ、ネックの種類を自由に選ぶ事に対応しているオーダーメイドギター専門ショップならば、
自分の好きな形、色、ネック、ボディ、、など、かなり自由に自分好みのギターを製作して下さるオーダーメイドギターショップ(ギター製作所)も有ります。
分からない所が有れば、ギター製作者に質問し、木材やデザインを決定してもらえば良いと思います。
ギターが弾けなくて楽器を選ぶとき、好きなアーティストが使用している楽器の木の仕様を調べるといいかもしれません。
好きなギタリストがギター雑誌に乗っていたら使用しているギターをチェックしてください。
店員さんにギターを弾いてもらって音質の違いがわかるのが一番よいのですが、あまり分からなかったら店員さんに演奏したい曲や
どのような游音が好みなのかできるだけ具体的に説明するといいと思います。
「あの曲のイントロのギターの音質が好きです。」
というのも楽器店の店員さんが、あなたにふさわしいギターを見つけやすくなると思います。
あとギターメーカーによっても得意としている音質が違うようです。
ん~、だんだん話が面白くなくなってきたので、このページも寝かせるといいかもしれません。
”寝かせる。”
この寝かせるは、ギターの木に限らず曲を寝かせることもあります。
私はまだ寝かせるほどの曲を書いたことはないですが、世の中
寝かせる。
のフレーズはよく出てきます。
ワインも日本酒も寝かせます。
ギターの木も寝かせると味がでます。
トレモロ付のエレキギターのバネを新しいものに変えたとたんに、味気のない音になってしまうこともあるようです。あるいはバネの
数を増やしてもギターの響きが変わってしまいます。
フローティングブリッジのギターはバネの影響をかなり受けていて、またそこが魅力の一つだと思います。
左手でビブラートをかけなくても普通に弾いただけで、微妙に音程の揺れがあってこれが何とも言えず快感で愛用しています。
どうやらギターは木だけでなく他の部品も音質に影響しているようです。
もちろん弦の太さでも響きがかわります。
ギターの部品だけでなくピックの厚さでも硬い音になったり軟らかい音になったりします。
右手のピッキングの位置、ネックよりで弾くか、ブリッジよりで弾くかでもかなり音質が変わってしまいます。
ネックよりで弾くとブリッジよりで弾くよりも丸い音がします。
ブリッジよりで弾くとネックよりで弾くよりも歯切れのよい音が出しやすいです。(悪く言えばガリガリ、ゴツゴツした感じです)
同じギターで同じ曲を弾いても弾き手によって音質が変わってくるのは、弾き手の右手のピッキングの仕方が一番関係してくるのだと思います。
同じギターでもある程度は、ピッキングの位置で丸い音や硬い音がだせるということです。
良く鳴るギターは、弾いたときにギター全体が振動しています。
ギターによって差はありますが、ギターは弾けば弾くほど良く振動するようになって、よく響くようになるようです。
アンプのボリュームを上げて音量を上げることと、よく響く鳴りのよいギターの響きとは違います。
とにかくギターを弾き込むほど、そのギターが響くギターになっていくことは確かなようです。
ある程度ギターを弾き込むと音質が柔らかくなりますが、鳴りが良くなると倍音を感じ取りやすくもなるようです。
倍音は基の音よりも高い音なので、倍音がよく出るようになると理論的には音質は明るくなります。
音質が柔らかくなる事と、音質が明るくなる事は相反する事のようですが、ギターの鳴りの良さの基準には両方とも重要だと思います。
ギターを弾き込むと、音質が柔らかくなりながら倍音が良くでるようになってきます。
楽器店の店員さんが、ギターを弾き込むと自分の音が鳴ってきますよ。
と、言われることがありますが、ギタリストそれぞれのギターの弾き方の違い、言い換えると、どのような曲を弾くのか、
ローポジションを多用するのか、ハイポジションを多用するのかなどの弾き方の違いにより生じるギターに与える振動のさせ方の違いから
ギターの音質と鳴りが変わってくる事を言っているのだと思います。
もちろん、そのギターが本来持っている木の特質が音質と鳴りの関係にも影響してくると思います。
”自分の音が出る”には、ギターの鳴り(ハードウェア)とギタリストのテクニック(ソフトウェア)による二通りがあります。
どのギターを弾いても自分の音が出る。という場合は、そのギタリスト特有のソフトウェアによるギターの音の事を言っています。
(ギタリストの、音使い、リズム、音質、ニュアンスの違いから個性がでるのだと思います。)
どうやったら、何ともいえない音になるか。
簡単です。ある程度、音程を不安定にすればいいです。
細かくいうと、安定と不安定を繰り返すのです。
繰り返す速さは場合によって異なります。
不安定にしすぎると逆に音痴になってしまいますから、感覚が大事です。
チョーキングも故意に音を不安定にすることの一つです。
バイオニストが微妙にビブラートさせながらメロディーを弾いていますよね。あれです。
では、ギターでコードの弾いたとき何ともいえない音が出るギターはよく響いていますが、
原因の一つに、ギターの木の振動で微妙に音程が不安定だからだと思います。あるいはギターの木の振動による微妙な音質の変化です。
ギターの木の振動じたいはブリッジが完全に固定されているギターのほうがトレモロ付のギターよりも有利で
振動しやすいと思いますが、トレモロ付のギターの鳴りはバネも関係してきますので、どれが良いかは好みになると思います。
フロイドローズのブリッジのギターで、バネの慣らしが終わってバネが良くしなるようになると
コードをジャーンと鳴らしたら音が不安定になりすぎるようになる事があります。こうなるとバネの本数を増やす場合があります。
バネの本数を増やすと安定感がありすぎるのですが、早くバネが慣れるように弦を換えるときなどに
グリグリとアームを動かしてバネが慣れるようにするしかありません。
(アームダウンするとバネが伸びます。アームダウンとニュートラルを繰り返してバネ慣らししてください。)
不安定にしすぎると音痴になりますからね。
安定と不安定の音を繰り返すと何ともいえない音になります。
鳴りの良いギターは弾いていて大変心地よいですが、あまり鳴らないギターとの関係を例えると、ふかふかの布団の中で気持ちよく昼寝する感覚と、
硬い冷たい床の上に寝そべる感覚との違いに似ています。鳴りの良いギターを弾きこむとギターのボディがよく振動していき鳴りが良くなりますが、
良いギターは演奏者の感度を少しずつ上げてくれます。いいギターを弾くとギターとギタリストが共に成長する事ができます。
ギターの鳴りの向上や鳴りの良さは、第三者には感覚として分かりにくいかもしれませんが、
ギタリストにとって鳴りの良い音質の良いギターは、弾いていて大変気持ちの良いものです。
このなんともいえない感覚(脳内化学物質の獲得(游音と脳内化学物質))
を感じるほどギタリストはギター(游音)にのめり込んでいきます。(ギター選び、オーダーメイドギター)
そのギターが鳴っているか調べる一番簡単な方法はチューニングして3弦開放弦を弾くと良く分かります。
軽くギターに体が当たっている部分、胸やお腹右手の上腕にビリビリ感じたら、そのギターは鳴っています。
もちろん左手にも振動が伝わりますが、この確認方法は一番簡単で手っ取り早いです。
鳴りと音質は深く関わっていると思いますが、3弦開放弦はギターの鳴りを確認するにはもってこいです。
自分のギターを毎日弾いていると、徐々に鳴りが良くなっている事に気がつかない時がありますが、購入時より弾いたときのギターの振動
が大きくなっていれば、そのギターはいいギターです。
また、弾いたときに気持ちのいいギターが、その人の好みのギターだと思います。
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